01 イントロダクションムービー
02 展覧会について
HIRAKU Projectは、過去にポーラ美術振興財団の助成を受けた作家を紹介する展覧会シリーズです。第15回目となる今回は、空間への彫刻的なアプローチにより大規模なインスタレーション作品を国内外で数多く発表してきた大西康明をご紹介します。
大学時代に彫刻を学んだ大西は、型取り作業の経験から、ポジとネガの関係性や、ものそれ自体ではなく、その周囲を把握することに関心を持ち、これまで一貫して余白や空洞、体積、境界などをテーマに制作してきました。
本展では、大西が近年取り組んでいる銅箔を素材とした作品の新作を展示します。銅箔は、多くの電子機器の内部で重要な役割を果たしていますが、人の目に触れることはなく、多くの人はほとんどその存在を意識することもありません。大西は、私たちの日常を裏側から支える銅箔をその機能から離し、河原の石に被せて叩くことによって成型し、大型のインスタレーションへと組み上げていきます。
長い時間をかけて地表を移動してきた無数の石の表面には、これまでに削られ磨かれたことによる物理的な喪失と引き換えに、途方もない時間の蓄積と、この地球の記憶が宿っています。大西が生みだす銅箔は、型取りを通してそうした不在/存在を提示するとともに、ものごとを認識するためには表層を知るだけでなく想像力を豊かに働かせることが不可欠なこと、あるいは想像力を以てしてもすべてを見通すことはできないことをも、示唆しています。
そこにないもの、見えないものに焦点を当てる大西の作品は、この複雑で多様な世界を、私たちがより自由で柔軟な感覚によって捉えるための助けとなることでしょう。
03 作家プロフィール
大西 康明(おおにし やすあき)
1979年、大阪府生まれ。大阪府在住。2001年、筑波大学芸術専門学群美術専攻卒業。2004年、京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2011年度ポーラ美術振興財団在外研修員(イギリス)。
近年の主な個展に、「Permeating Landscape」Bellagio Gallery of Fine Art(ラスベガス、アメリカ、2019年)、「reverse of volume」Weber State University, Kimball Visual Arts Center, Mary Elizabeth Dee Shaw Gallery(オグデン、アメリカ、2019年)、「Hidden Landscapes: Yasuaki Onishi」COCONINO Center for the Arts(フラッグスタッフ、アメリカ、2018年)など。
主なグループ展に、「Taoyuan Land Art Festival」Longtan Sports Park(桃園、台湾、2023年)、「SCHLOSSMEDIALE」Schloss Werdenberg(グラープス、スイス、2023年)、「境界を縁どる―石、呼吸、埋立地」福岡アジア美術館(福岡、2022年)、「ART OSAKA 2022 Expanded」クリエイティブセンター大阪(大阪、2022年)などがある。
04 作品紹介
HIRAKU Project Vol.15
大西 康明 境の石
- 会期
2023年12月16日(土)-2024年5月19日(日)
- 場所
ポーラ美術館1F アトリウム ギャラリー
- 協力
福田金属箔粉工業株式会社、アートコートギャラリー