01 展覧会について
中嶋浩子は、これまで幾何学的連続模様(パターンデザイン)を制作してきました。連続的な自然現象や何らかの条件下で起こる事象を、数学的公理や概念から生まれる人工的な幾何学的形態を用いて再構築し、「CONTINUUM:連続体」として表現しています。
本展覧会のタイトルは、中嶋自身が幼少期から漠然と抱いてきた、「この世界を構成しているものとはなんだろう?」という問いに由来します。そしてこの問いを制作のコンセプトとしてきた中嶋は、「見えないけれど、確かに在る連続する世界(空間)」を証明するものの一つとして、数学の空間充填曲線を空間に展開した作品にたどり着きました。
本展覧会では、開放的な展示空間の全体を線の連続からなる模様で充填し、規則的かつ感覚的に構成された「連続する形」を、新作インスタレーションとして発表します。中嶋は、幾何学的な連続性の中に「ズレ、変則、欠如」を感覚的に取り込み、新たな視覚表現として平面や空間に展開しますが、そこには、作家がヨーロッパ滞在時に実感した、日本独自の不完全なものへの美意識を見出すことができます。この展示空間の所々には、形、色、線などによって表現された連続体の一部をクローズアップした平面作品と立体作品が、別の次元を行き来しながら連続を構成するための要素(ピース)として挿入されます。この世界を独自に解釈し、空間として再構成する中嶋浩子の作品を体験していただけましたら幸いです。
02 作家プロフィール
中嶋 浩子(なかじま ひろこ)
東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒業。幾何学的形態や文字をシンボル化し、「連続した形(模様)」を中心に制作。2014年より公益財団法人ポーラ美術振興財団若手芸術家在外研修員として、ゲッティンゲン大学数理科学研究科(ドイツ)、フィンランド自然史博物館(フィンランド)にて研修。以降、公益財団法人野村財団在外研修員(美術)での研究滞在を経て、東京を拠点に活動を展開している。国内外での展示、テキスタイルデザインシリーズ<MATHEMATIQUE>、 日本語オノマトペを図形化し連続模様にした〈ONOMATOPÉE〉 、建築家とのプロジェクト「建築現場をオノマトペで覆う|Cover the construction wall with the onomatopoeia patterns」等を通じ、アート、デザイン、建築など、領域を横断して「連続する世界」をテーマとしている。ドイツでの数学研修において、「見えない部分を構成するもの」を概念数学の世界に見たことで、近年では、模様の工学的研究の他、様々なメディウムでの作品制作に取り組み独自の世界を広げている。
03 作品紹介
04 出品リスト
1.Hilbert curve, 2021 2021年 アクリルグワッシュ/木製パネル8枚 各70 x 70cm、全体140 x 280cm
2.不完全な連続体| Incomplete continuum 2021年 スチレンボード、塩化ビニル板、MDF、ウレタン塗料、アクリルグワッシュ、カッティングシート、壁紙
3.構成のための作図01 2021年 インク、鉛筆/紙 27 x 38 cm
4.構成のための作図02 2021年 インク、鉛筆/紙 38 x 27 cm
5.構成のための作図03 2021年 インク、鉛筆、色鉛筆/紙 27 x 38 cm
05 イベント
アトリウムギャラリーで展示中の《Hilbertcurve》は画面はさまざまな色で満ちています。
この画面にあなたの自由な感性で色を塗ってみませんか?
作家の中嶋浩子さんにお願いして特別に白黒の線画を用意して頂いたので、思い思いに色をあてはめてTwitterやInstagramに「#わたしのCONTINUUM」で投稿してください!
中嶋さんお気に入りの作品を投稿して下さった方には素敵な副賞をご用意しています。(3月中旬発表)
皆様からの投稿をお待ちしています。
06 展覧会情報
HIRAKU PROJECT VOL.12
中嶋 浩子
CONTINUUM|この世界を構成するもの
- 会期
2021年9月18日(土)-2022年3月30日(水)
- 主催
公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
- 会場
ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー