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レオナール・フジタと旅/旅の終わりに -「小さな職人たち」
1950年、63歳のフジタはパリに帰還し、モンパルナスのカンパーニュ=プルミエール通りに居を構えます。
旅と転居を繰り返したフジタが生涯一貫してつづけたことは、自宅を自らの手仕事により設え飾ることでした。旅先で買い集めた気に入りのオブジェや絵画を飾り、隅々まで工夫を凝らしたアトリエ兼住まいの空間は、フジタの人生を総括する創造物といえます。
生涯の旅の終着を意識し始めたフジタは、連作「小さな職人たち」を壁に配したパリのカンパーニュ=プルミエール通りの住居、ヴィリエ=ル=バクルの家、そしてランスのノートル=ダム・ド・ラ・ぺ(平和の聖母)礼拝堂の空間づくりに情熱を傾けていきます。終の住処ともいうべきそれらの空間は、絵画や壁画だけでなく、キリスト教の信仰を誓う十字架が置かれ、祝祭的な彩りにあふれています。
本展覧会では、新収蔵作品である《猫のペンション》 も展示いたします。