展覧会
12/13
2023
5/19
2024
杉山寧
2023.12.13 — 2024.05.19
会期
2023年12月13日(水)~2024年5月19日(日)
会場
展示室5
鋭く緻密な描写や理知的な構図、鮮明な色彩と重厚なマティエール(絵肌)よって戦後の日本画を牽引した杉山寧(1909-1993)は、1962年(昭和37)、初めての海外旅行でエジプトとヨーロッパ各地を周遊したことをきっかけに、外国の風景を数多く描くようになります。特に中近東を好み、エジプトをはじめ、ギリシア、エトルリア、トルコのカッパドキアの自然や遺跡など、それまでの日本画では描かれることがなかったモティーフを画面にとどめました。
杉山芸術を支えたのは、優れたデッサン力です。研ぎ澄まされた観察眼でモティーフを的確に描写する能力に優れ、同時に画面構成に関しても類まれな才能に恵まれており、知的で気品あふれる画面空間を作り出しました。一方、1960年以降は抽象表現に傾倒し、質感へのこだわりを強く抱き、日本画の伝統的な画材である和紙や絹ではなく、西洋絵画で使用する麻布に描くようになります。さらに岩絵具には細かい砂などを混ぜ、ざらざらとした凹凸のあるマティエールを追求しました。
ポーラ美術館は、優れたデッサン力に基づく写実表現と、豊かな感性に根ざした抽象表現を融合した絵画を中心とする、総数43点の杉山作品を収蔵しています。本展示では、コレクションの中から重厚な質感と明確なコントラストによってモティーフを際立たせた幻想的な雰囲気を湛えた日本画や、可憐な花と瑞々しい果物をモティーフとしたパステル画をご紹介します。