本作品に描かれた裸婦は、若々しい血色をたたえるとともに、周囲の自然の生命力を感じさせる色彩と呼応して、輝きを放っています。暗緑色の上に置かれた山吹色のハイライトは、ルノワールがとらえた強い光の効果を伝えており、その印象が画面全体にわたって描き出されています。
ルノワールが究極的にめざしたのは、戸外を舞台とした裸婦の群像を作り上げることでした。南フランスで得た強い光と豊かな自然、そして生命感溢れるモデルの存在は、最晩年にいたるまでルノワールを戸外での制作へとつき動かし、人物と風景との調和のヴィジョンを作品にもたらしました。