本作品では、セザンヌの故郷、自然豊かな南仏プロヴァンスの陽光に満ちた青い空、山の斜面に建つ家、緑の木々などが、あざやかな色彩で描かれている。画面中央の家には、プロヴァンスで「マス」と呼ばれる、モルタル塗りの壁と赤く平らな瓦葺き屋根といったこの地域の農家に典型的な建築様式がみられる。また、この辺りの家は南に建てられ、家の周りには、強風を防ぐための木々が植えられている。セザンヌは、緑の木々を、画面全体の統一的な構成をめざした長方形のタッチの積み重ねによって描いている。(『モネと画家たちの旅』図録、2007)