擬人化されたキツネの家族が食卓を囲んでいる場面。子どもたちが喧嘩をしたり、床で行儀悪く食事をしているため、キツネの夫婦はなかなか食べはじめることができません。舞台となっている室内には、フジタが理想の家として1948年に製作したマケット(建築模型)にみられる厨房や階段、暖炉などがあり、壁にはカラスとキツネを描いた絵が架けられています。この絵は、17世紀の作家ジャン・ド・ラ・フォンテーヌによる『寓話』全12巻のうちの「カラスとキツネ」の一場面を描いたものです。チーズを食べようとしていたカラスが、キツネに美声の持ち主だとおだてられ、声を発しようとした瞬間にチーズを落とし、それを奪われてしまうという話です。