褐色の透明地にエナメル彩と金彩によって草花や風景などを描いた作例。丸窓形や扇形の枠の中にモティーフを描く手法はジャポニスム風である。口は四角形に仕上げられ金彩を施し、両端からは細い取手が左右に伸びている。正面の丸窓形の中には赤いエビが、扇形の中には木柵(鳥居か)が建てられた風景が描かれ、余白部分の上部には赤いエナメル彩で描かれたメダカのような小魚が2匹泳いでいる。別面は余白に緑色の葉が描かれ、ふたつの丸窓形の中に、富士山(か)を望む水辺の風景と、赤いひれを持った2匹の魚が泳ぐ様子が描かれている。(『名作選』 2007)