透明地を型吹き成形し、金型を利用して畝上の溝を浅くつけている。全体の輪郭は円に近い12角形で、白、赤、青のエナメル彩によって繊細な連弧文や花文を描いている。アプリカシオンで熔着された蓋のつまみは内部が空洞になっており、8面形に面取りされている。同様に脚部もアプリカシオンで熔着され、フリル状の溝が金型によってつけられている。蓋を取るとコンポートの中央に、様式化された花籠に花束を入れたモティーフが描かれている。これと同様の装飾文様を描いた下図が、オルセー美術館に所蔵されている。フランスのルーアンで17世紀終わり頃に焼かれた陶器にみられる青と赤の2色による絵付けをガラスに応用したもので、ガレが「ルーアン」と呼んだ装飾モデルである。(『名作選』 2007)