12月2日(月)~13日(金)まで臨時休館いたします
本作品は1929年7月、ピカソと妻オルガとの間に生まれた長男パウロが、8歳の頃に制作された肖像画です。ピカソ一家はこの頃、パリの社交界にも出入りする華やかな生活を享受しており、この絵画は、画家の家に残された愛息の大切な肖像画でした。本作品を制作する6年前、ピカソはアルルカンに扮した2歳の頃のパウロを描いたもう一つの作品《花束を持つアルルカンに扮したパウロ》(1923年、個人蔵)を描きました。この作品は知人の手に渡り、本作品はその代替として、ピカソがパウロの幼少期の姿を絵筆でとどめるべく、現実よりも幼い4歳児の息子として描かれたものです。絵のなかのパウロは、一般的にピエロが持つことのない権力の象徴である杖を手にし、威厳に満ちた白い顔を正面に向け、流麗な色の濃淡で覆われた背景のなかに立っています。この杖は絵筆を、もう片方の手に持つ花束は色とりどりの絵具を載せたパレットを連想させ、パウロを画家の姿にもみせています。