フジタ自身の手による八角形の額縁に納められた本作品は、画家が戦後パリに戻ってまもなく描いたものです。画面の大半を占めるベッドの上では、ナイトキャップをかぶり寝間着をまとった二人の少女が、カフェ・オ・レとクロワッサンの朝食をとっています。ふと食べるのを止めた左の少女はこちらを見つめ、右の少女は左側の少女の方をそっと見つめています。交わらない二人の視線からは、起きがけのけだるさが伝わってくるようです。白いナプキンには赤で、また白い食器には青で細いラインがアクセントとして施され、それらが色違いの寝間着と相まって、画家のこだわりがうかがえます。