モネは、1872年に、パリの北西10km離れたセーヌ河沿いの町アルジャントゥイユに転居し、1878年1月まで住んでいます。1851年の鉄道開通によってパリと結ばれたアルジャントゥイユは、セーヌでの川遊びなどのレジャーでにぎわう行楽地でしたが、急速に産業化していきました。工場が建設されて、のどかな美しい風景は変貌していきます。町には工場労働者が増加し、セーヌ河も汚染されてしまいました。このアルジャントゥイユで、モネは170点以上の作品を制作していますが、この作品は、最後の作品の1点とされています。モネは、煙を上げる煙突がみられる工場を背景に、ダリアの花咲く緑の草むらを前景に置き、都市の産業化と美しい自然を対比させて描いてます。この、画面の上方に水平線を置いて、手前に大きく、視界を遮るようにモティーフを配する構図には、日本の浮世絵の構図の影響が指摘されています。