12月2日(月)~13日(金)まで臨時休館いたします
1906年10月から1907年の2月まで、ブラックは友人の画家フリエスと南仏プロヴァンスのマルセイユの北西の港町レスタックで過ごした。それは、彼が尊敬していたセザンヌが1870年代と80年代にこのレスタックに滞在し、風景画を描いたからである。20世紀前半にレスタックは、セザンヌの影響を受けた画家たちのセザンヌ巡礼の地となり、数多くの画家たちがこの地を訪れた。レスタックには、19世紀初頭から港と漁場の周りに村が形成され、造船所が造られた。1885-1906年には、造船業・化学・鉱業で発展し、多くの工場が建設される。レスタックの町を高台から見下ろした風景を描いたこの作品の、画面右に木立、左に街並みを描く構図にセザンヌの影響がみられるが、あざやかな色彩や力強い筆使い、うねるような線には、1905年のサロン・ドートンヌで目にしたフォーヴィスムの影響が明らかである。(『モネと画家たちの旅』図録、2007)