地中海に面した庭の牧歌的な風景。庭には黄色のミモザの花で埋め尽くされ、その奥には葉が生い茂った木々がある。中央の開けた場所には棕櫚の木が生えており、その背景には青い地中海が姿を現わしている。画面手前には、庭に面したテラスがあり、左には子どもたち、右にはオレンジの籠を差し出す若い女性が描かれている。本作品のように、手前にテラスが描かれ、その先に風景が広がる構図の作品には、観る者もこのテラスに立っているかのような臨場感がある。第一次大戦中にボナールが制作した数点の装飾画には、このような構図が用いられている。(『モネと画家たちの旅』図録、2007)