この香水アトマイザーは、上部中央を押してスプレーする方式である。ボディには、エジプト風のヘア・スタイルとドレスをまとった女性が踊る姿が描写され、金具部分にツタ文様が施されている。
エジプト風の図柄には、ツタンカーメン王墓が1922年に発見されたことが影響していると思われる。当時は古代エジプト・モードの流行もあり、「スカラベ」というお守りをかたどった装身具やラムセス王墓をかたどった香水瓶なども作られた。ラリックの好む装飾要素のひとつ、髪をなびかせて踊る女性の姿から、1920年代の躍動感が感じられる。(『ドガ、ダリ、シャガールのバレエ』図録、2006)