著作権有効作品のため、画像を表示していません。画像は『シャガール 私の物語』展図録(p. 108-111、cat. 27)をご覧ください。シャガールが1909年から1965年にかけて書いた31篇の詩に、24点の木版画が合わされた詩画集。詩篇はイディッシュ語とロシア語で書いた原文を、シャガールがモシェ・ラザール教授の協力で下訳し、フィリップ・ジャコテがフラン後に翻訳したものである。シャガールは、祖国の言語と第二の母国語であるフランス語の両方を大切にしていた。 本作品はシャガールにはめずらしい木版画であり、銅版画とともに木版画に熟練したラクリエール工房の技術が、木版画独自の表現に大きく貢献している。鮮明な色彩を用いながらも、版の木目を活かし、素朴で自然な大らかさを醸し出している。また、紙やプリント模様のある布を用いたコラージュがいくつかの図版に施され、晩年においても失われることのなかった、シャガールの絵画技法に対する飽くなき探究心を感じさせる。 版画に登場するのは、シャガールの思い入れの深いモティーフばかりで、ヴィテブスクとパリの街並み、恋人たち、花束、ユダヤ教の経典などのイメージが散りばめられている。(『シャガール 私の物語』図録、2008)