4人の水浴の女たち

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  • 作家名 ポール・セザンヌ
  • 制作年 1877-1878年
  • 技法・素材 油彩/カンヴァス
  • サイズ 38.0 x 46.2 cm
セザンヌが亡くなった翌年の1907年7月には、ベルネーム=ジュヌ画廊で大規模な水彩画の展覧会が、続いて10月にはサロン・ドートンヌで晩年の大水浴図を含む56点の油彩画を展示した大回顧展が開かれた。セザンヌは多くの人々に評価される前にこの世を去ったが、彼の絵画における彫刻的なアプローチが、アンリ・マティスやアンドレ・ドランら若い画家たちから高く評価されるとともに、彼らの制作に重要な霊感を与え、彼らはすぐさま同じ画題に取り組んでいる。注目すべきは、その彼らがセザンヌの水浴図を所有していたことである。マティスは《3人の水浴の女たち》(1876-1877年、R. 360、パリ、プティ・パレ美術館蔵)を所有し、ドランは《5人の水浴の女たち》(1885年頃、R. 554、バーゼル美術館蔵)の複製画を所有していた。ピカソもクリシー大通りのアトリエで撮影したブラックの肖像写真から、セザンヌの水浴図のリトグラフを所有していたことが分かっている。 本作品は、1957年にピカソが購入した《5人の水浴の女たち》(1877-1878年、R. 365、パリ、ピカソ美術館蔵)を含む、4、5人の裸婦をピラミッド型に配置した5点の水浴図のうちの1点である。斜めに平行に置かれた構築的な筆致が画面の大部分を覆ってはいるが、規則性が幾分ゆるやかなため、彼の構築的構図へといたる道のりの途上を思わせる。内側に傾いた樹木のアーチが女性たちの傾いたポーズに反復され、構築的な筆致とともに画面に無数の呼応する要素が緻密に組み合わされており、印象派の絵画にみられる偶然性や瞬間性とは大きく隔たった画面構成となっている。この反復はピカソの《3人の女》(1907-1908年、Z. II*-108、サンクトペテルブルク、エルミタージュ美術館蔵)をはじめとする裸婦像においては、半円形と三角形の反復による構成に変換され、体系的に取り入れられている。(『ピカソ 5つのテーマ』図録、2006)