01 展覧会について
ポーラ美術館は、2017年10月に、現代美術を展示するスペース「アトリウム ギャラリー」をオープンし、平成8年よりポーラ美術振興財団が助成してきた若手芸術家たちを紹介する「HIRAKU Project」を開始しました。第7回目の展示として、SHIMURAbros「Film Without Film 映画なしの映画」展を開催します。
SHIMURAbros は、姉のユカと弟のケンタロウによるアーティスト・ユニットです。映画作家からアーティストへの転身を果たした彼らは、ベルリンを拠点に、映像を中心とする数々のインスタレーションを発表してきました。その作品は「光」や「時間」、そして「物語」といった「映画」を構成するテーマに基づき、鏡や光学ガラスといった様々な素材や、3DプリンターやX線CTスキャンといった技術を用いて制作されています。これらの最新のデジタル映像技術を駆使したSHIMURAbrosの作品は、いずれも「見る」ことを問い、現代の私たちの認識に揺さぶりをかけるものです。
本展のタイトルである「映画なしの映画」とは、1920年代のソビエト(ロシア)における実験映画の先駆者、レフ・クレショフが行った伝説的な実験映画の名称に由来しています。それを作品名にもつ《Film Without Film》は、映画の一篇をデータ化し、3Dプリンターによって出力した彫刻作品です。また、2012年に横浜で初めて公開された《Silver Screen》では、スクリーンに映される光がスクリーンそばの鏡に反射し、作品をみる観客、さらに光を投影するプロジェクターを露わにします。
本展覧会では、「見る」ことや作品を見る「私たち」の存在に問いを投げかけるSHIMURAbrosの映像と立体の作品を通じて、映像メディアとリアリティの関係性という、映画の誕生から続く本質的な問いを再考します。
02 作家プロフィール
SHIMURAbros
姉のユカ(1976年生まれ。多摩美術大学卒業後、英国セントラル・セント・マーチンズ大学院にて修士号を取得)と弟のケンタロウ(1979年生まれ。東京工芸大学映像学科卒業)によるアーティスト・ユニット。「映画」にまつわる作品や、その解釈を拡げた意欲作を次々と発表。ポーラ美術振興財団在外研修(2014年)をきっかけとして、活動拠点をベルリンに移す。現在は同地にて、光や水、霧といった自然界の要素を取り入れた大胆かつ洗練されたインスタレーションで世界的に著名なアーティスト、オラファー・エリアソンのスタジオに研究員として在籍。主な展覧会に、「第13回文化庁メディア芸術祭」国立新美術館(アート部門優秀賞受賞、東京、2009年)、「Road to Singapore」シンガポール国立大学美術館(2013年)、「第10 回恵比寿映像祭『インヴィジブル』」東京都写真美術館、日仏会館ほか(2017年)、「SHIMURAbros」東京画廊+BTAP(北京、2018年)
03 作品紹介
04 出品リスト
1. Silver Screen
2012年/2018年(再制作) 映像(20分/白黒)、鏡、プロジェクター、PC
2. 映画なしの映画-アンダルシアの犬 01
2018年 ステンレス、ピグメント・プリント、フレーム 84.0×68.0×15.0cm
3. 映画なしの映画-アンダルシアの犬 02
2018年 ステンレス、ピグメント・プリント、フレーム 84.0×68.0×15.0cm
4. 映画なしの映画-アンダルシアの犬 03
2018年 ステンレス、ピグメント・プリント、フレーム 84.0×68.0×15.0cm
5. Trace-Sky-Tokyo Story 03
2015年 鏡、光学ガラス、電線、木 84.0×84.0×17.0cm 個人蔵
6. Trace-Sky-Tokyo Story 07
2015年 鏡、光学ガラス、電線、木 84.0×84.0×17.0cm 個人蔵
05 展覧会情報
HIRAKU PROJECT VOL.7
SHIMURAbros Film Without Film 映画なしの映画
- 会期
2018年12月8日(土)-2019年3月17日(日)
- 主催
公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
- 会場
ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
- 協力
東京画廊+BTAP